月刊駄美術図鑑 2022

「雑誌クッション」

ゴッホの「ひまわり」にトマトスープがかけられた事件。
なにしとんねん!
環境活動家が、これまでもいろいろな行動をしてきたが、
温室効果ガス排出量が減っていないことに業を煮やして
今回の行為になったというような記事も読んだけど、
まあ あかんもんはあかんで。

いろいろな意見があるやろうけど、今回の件で
俺が一番気になったのはトマトスープ缶。
事件の画像をよう見たら、手に持ってるのは
「ハインツ」のトマトスープ缶やねん。
なんで「キャンベル」と違うねん!
ゴッホとウォーホルは関係ないとはいえ、
美術館でトマトスープ缶を使うってなったら
「キャンベル」やろが!
なんかものすごいもやもやするんじゃ!
一事が万事、そういうとこだぞ って感じ。
みなさんは そんなことはどうでもいいですか?

さてさて
今月の作品はそんな事件とは全く関係のない「雑誌クッション」。
雑誌の6面をスキャンして、布にプリントしてクッションにしました。
床にゴロンと横になって手の届くところにある雑誌を枕がわりに
使うとき、クッションになってたら、なおいいなと。
そんなことはどうでもいいですか?



「わら人形親方」

今年で活動30周年なのですがコロナの影響もあり、20周年や25周年の時のように
皆さんにお越し頂く派手なイベントをするのも憚られ、節目ではあるのですが
いつもより控えめに記念する年を自分達で祝うしかないかなーと思っています。
この30年の間に世間ではI T革命やデジタル化が進み、いろんな事件が起こったりと
世の移り変わりを経験して来ました。20周年の時などは、そんな過去をしみじみと
思い返して感慨に耽っていましたが、今回は僕自身も年を取り古いことは
どんどん忘れてしまっていることの方に驚いてばかりです。
長い間続けていると、音楽の演奏だったら同じ曲でも円熟味が出たりして、
その人のスケールとか歩んできた人生などが滲み出るのでしょうが、
駄美術においては今まで作った作品や、最近の作品を見比べると全くそんなものは無く、
ひたすらその時その時に全力でボケてみただけの記録にしかなっていません。
よくぞここまで、というくらい成長や進化という言葉とは無縁だなと思います。
「ブレないですね!」と言われることもたまにありますが単純に変われないのかも
しれませんね。まあここまで来たらこのままスカスカなままでしょうね。
と、いうことで今月の駄美術は「わら人形親方」。
わら人形にまわしを付けただけの作品です。親方なので弟子に胸を貸すのでしょうが
五寸釘刺さってたら痛そうやな、とか妄想しながら作りました。タイトルの響きも気に入ってます。
これ2年前の52歳の時に作りました!



「かに光線」

こないだの「私のバカせまい史」はおもろかったな。
誰も調べてないせま~い歴史を徹底調査する番組。
「ものまね番組ご本人登場史」は貴重なシーン満載やった。
こういう歴史ではないけど調べて欲しいもんがある。
本物のゴリラって「ウホウホ」言う?あれって誰かがそう表現したんやんな。
最初にそう表現したんは誰なんやろ?
すっかりゴリラといえば「ウホウホ」って定着してるけど。
あと漫画で「遅刻遅刻~」って女の子が食パンくわえて走ってて
角で男の子(転校生)にぶつかるやつ。ベタなシーンやと認知されてるけど
最初に描いたんは誰なんやろ?
最初はもちろん知りたいけど、2番目って誰なんや?
すでにそのシーンが存在してるのに同じことを描くってどういうこと?
何回か描かれてるからベタになったんやんな。
2番目を徹底調査して欲しい。

で、今月の作品は「かに光線」。
説明のしようもないベタな言い間違い・思い違い系駄美術です。
あと漫才のつかみのパロディで使われる「右からべっぴんさん、べっぴんさん、
一人とばしてべっぴんさん」っていうのは最初に言うたんは誰やっけ?



「夜の招き猫」

いやー、罹ってしまいましたよ新型コロナ。まさにwithコロナ。
おそらく家庭内感染なのだと思うのですが、コロナが流行り出して2年以上
感染対策に気を付けてワクチンも3回打ってブロックしてきたつもりでしたが
罹る時はこんなにアッサリなのね、という感想です。
オミクロンはデルタより重症化しなくて風邪みたいなもの、という噂もあったので
そんなに深刻に思ってなかったのですが実際症状がきつく最初の3日は高熱。
で喉痛、咳、頭痛、お腹の不調と症状のオンパレード。1週間であらゆる病気を
効率よく回った感じです。
悔しいのは3回もワクチン打って副反応に苦しんだのに全てチャラなこと。
9月に新型株対応のワクチンを導入とニュースで言ってたのを聞いて最近のは
対応してないやつを打ちまくっとったんかい!と思わず呻いてしまいました。
ワクチン反対派ではないのですが変異に追いつかないなら打たんかったら
よかったかなあ、と思わざるを得ません。よく考えたら去年の今頃2000人感染!
とかの数字を聞いてビビってましたがここ最近は毎日2万人とかで0が一つ
多いんですよね。そら俺にも回ってくるわなーと。

で、唐突に今月の駄美術は「夜の招き猫」。
黒服姿の猫が道ゆく人に「2名様、すぐにご用意できます!」と携帯片手に
呼び込みをしている様子を作品化しました。そんな様子、見た事ないのですが。
仕事帰りに通りかかる夜の街も最近は人が凄く溢れていて、
そらコロナも拡がるわなあ、と思っていたのが自分にブッ刺さるという愚痴に
終始する今月です。



「冷凍マンモス」

こないだBSで「聖戦士ダンバイン」とか「重戦機エルガイム」のダイジェストを
3時間くらいでやってたんで「おお懐かしいな」と見てみた。
見てみたら、どのシーンも懐かしいどころか、ぜんぜん思い出せず、
なんかしっくりこない。というか記憶に全くない。
あれ?確かにメカ(オーラバトラー&ヘビーメタル)の名前は
「ダーナ・オシー」だの「アシュラ・テンプル」だの全部わかるんやが、
ストーリーやキャラクターは全くわからん。
そうか!思い出せないんじゃなくて、見たことないんやった!

当時、模型情報誌「ホビージャパン」を目を皿のようにして読んでいて、
プラモデルで発売されるメカたちを毎月どんどん吸収していってたんやが、
アニメ本編は見てないんやった。
けっこうプラモデルも作ってたが、本編見ずに雑誌の情報だけで作ったり
改造したりしてたんか。見た気になってたわ。
で今回見たアニメ本編はダイジェストすぎてなんかぜんぜんわからんかった。
いつかええタイミングあったら全編みてみるか。

さて今月の作品は毎日暑いんで少しでも涼し気なものをと「冷凍マンモス」。
最近も永久凍土から冷凍マンモスが発見されたニュースが流れてたが、
なじみのある冷凍肉のイメージにしてみたもの。
2020年の「駄美術100連発」という個展に出したもので、
大慌てで100点(ひとり50点)つくったんで自分でも忘れてるものも多数。
作ったつもりで作ってないのもけっこうあるような気がしてきた。



「ネガ(毛球)」

これを書いている時点ではまだ6月末でして、本来なら梅雨の真っ最中のはず。
ですが、今年はもうほぼ全国に梅雨明け宣言が出ていて、とにかく「暑い!」の一言。
僕は夏の暑さが苦手なので毎年暑い、暑いと唸ってますがそれでも大概8月の話。
6月でこれって異常気象ですかね。ほんまにどないなっとんねん!お天道さんよっ!
と訳もなく怒鳴り込みたくなるほど暑いです。
家には猫が2匹いまして、夏になると分かり易過ぎなくらい床にべたーっと伸びきっています。
「死んでんのか!?」と思うくらい。今年は早くも伸びきっております。
家の中の快適なところを探すのが得意な猫ですが、おそらく快適な場所でさえ
伸びきらないとたまらないくらい暑いのでしょうか。
人間もあんな風に思ったまま、そこらの道路でびろーんと寝ていたいものです。
ただ、人間と違って猫は毛皮を着ている状態なので、そら暑いわなあと思うのです。
しかも夜など2匹で重なり合って寝てたりするのですが、見てるだけで暑い!
ほんとに動物のやること、考えることは分からんなと。

さて今月の駄美術は「ネガ(毛球)」。昨年末の「猫展」用に作りました。
普段から思っていた「猫って年中毛皮着てるけど、暑いんちゃうの?」と言う思いを込めて
猫の手の肉球と毛の部分を反転させてみました。
展示では特にお客さんの反応もなく、暑い時に見たら
「それがどないしてん!」とイライラされそうな微妙な駄美術です。



「猫かと思って近づいたらコンビニ袋でしたの木彫り」

子どもの頃に嫌いやった食べ物も大人になっていつの間にか
食べられるようになってるってあるね。
けっこう好き嫌い多い子どもやったけど、今は
だいたい食べられる。
いまだに苦手なんは納豆と牡蠣くらいか。

トマトも苦手やったんやけど、ケチャップとか
トマトソースのパスタは嫌いじゃないから、トマト味が
嫌いなわけではなかった。

ある日、居酒屋で冷やしトマトが丸まる1個出たんやけど、
皮がきれいにむいてある。
とりあえず食べてみるとこれがめちゃめちゃ美味い。
あれ?って感じ。
どうやらトマト全般が嫌いなわけではなく、
皮のパツパツ感と中のぐにゅぐにゅ感の“ギャップ”が苦手なだけやった。
そういえば煮込んだトマトとかも皮が柔らかくなってるから、
抵抗なく食べてたわ。

謎が解けたけど、わざわざ皮をむいて食べるわけではないんで、
今でも苦手ではある。

さて今月の作品は「猫かと思って近づいたらコンビニ袋でしたの木彫り」。
Twetterなどでたまに見る勘違い画像を木彫りで再現したもの。
久しぶりに木彫りをしてみて楽しかった。
自分では好きな作品ですが、他人はそんなこと知ったこっちゃないようで、
例によって展覧会でのリアクションは薄かったです。



「ネガティブ進化」

桜が満開だなと思っていたらすっかり散ってもう新緑の季節ですね。
初夏っぽい陽気で暑くなったりと急な気候の変化に対応しきれなさに己の歳を感じます。
初夏っぽいといえば家の植え込みや仕事の通り道の草っ原に虫が湧き出すことで特に
実感しますね。僕はカエルと亀を飼ってるのですが、今の季節餌にするダンゴムシを
採集するにはベストシーズンなのです。まだ蚊もいないし、朝は涼しいので早めに起きた
朝はピンセットで採るのが日課になってます。
植え込みの草をめくると、びっくりして丸まって防御体勢になってるのを捕まえるのですが、
最近どうも知恵がついた奴が増えたのか、さっさと早足で土や草の間に逃げ込むことを
覚えたようです。
動きも結構速くなっていて、もしかしたら僕の行為が彼らの進化を促したのでは?
とさえ思うのです。
このままいくと彼らは身を守る殻のせいで鈍重であると気づいてスリムな多足の虫に
なるかもしれないのでは?
これって新発見?などと妄想を楽しんでいます。
ブツブツ言いながら土に向かってる初老のジジイを近所の人はどう思ってるか?
とかも気になりもするのですが。

さて今月の駄美術は「ネガティブ進化」。
熊の尻尾が熊の頭になっていて、外敵を驚かして身を守ろうと進化した様子を
作ってみました。
昆虫なんかで尻尾や羽の模様がヘビに似せたのがいますね。まさにあれです。
しかし他人の威を借りてビックリさせてる間に逃げるってなんとも後ろ向きな気がして
「ネガティブ」などと名づけてたのですが、昨今の世界情勢から考えると複雑な
気持ちになりますね。
どっちがポジティブなのやら。。。



「はみ出しフタ押さえ」

若い人たちの事を「Z世代」って呼んだりしてるけど
時間はどんどん流れていくのにもう最後のアルファベット使ってもうて
この先どうするんやと。
こういう世代の人らは「バカルディ」とか「海砂利水魚」とか知らんのちゃうか。
それぞれ「さまぁ~ず」「くりぃむしちゅー」の旧コンビ名。
番組の企画で改名してそのまま定着してる。

俺らも改名した方がええんちゃうかと思うこともあるわ。
字面が固くてとっつきにくいし、もはや作ってるもんは現代美術でも
なんでもない。
名前が長いから「二等兵さん」と省略されて呼ばれるけど、
たまに「現代美術さん」と呼ぶ人もおって、
それって「お相撲さん」みたいやなと思ったり。。。

さて
今月の作品は「はみだしフタ押さえ」。
一旦目を離すと「うわあっ」となるフタの重しです。
麺部分はエポキシパテで作りましたが、色が似ていて
ええ感じやったんで着色せずに使ってます。
カップヌードルも登場したときからこのネーミングやから
かっこええし、わかりやすいし、ワールドワイドで通用してる。
「お湯入れめんめん」みたいなもっちゃりした名前やったら
すぐ改名してたやろなあ。



「縁起でもない物」

正月かあ、2022年かあ、と呑気に過ごしていたら2月も終了。
冬の五輪も終了。なんともうすぐ春ですね。ちょっと時間の経つ速さが
体感的にも倍速な気がします。今年は活動30周年ということで特にそれに
ちなんだ訳ではないですが色んなお誘いを受け今年はバタバタしそうな予感。
いやあ、有難い有難い。世間はコロナ禍とか他にもキナ臭い話題が多くて
気分も下がりますが、個人レベルでは前向きにより良い毎日を悔い無く
過ごしていきたいですね。とかなんとか、毒にも薬にもならない校長先生の
挨拶のような話をしてしまいました。50代も半ばになろうとしているのですが、
昔は年長者の言葉は経験の積み重ねから重いものになるのだと思っていたのですが
自身に関しては、まあみんな聞いてないしこんなもんでええか、とか非常に
内容の軽いものになっていて、60代70代の頃には赤ちゃん言葉よろしくバブバブ
言うてんのじゃなかろうかと思うほどです。他人の目を気にしない老人になるのかと
恐れております。

さて、今月の駄美術は「縁起でもない物」。縁起物の七福神の大黒天が大暴れして
小槌でビルをぶっ壊している名前の通りの作品です。人類はもう少し自戒をしないと
大黒さんがこんなふうに罰を与えにくるぞ!という警告の意味も込めた作品です。
なんか大袈裟に書きましたが、これも口から半分出まかせに近い言葉なのでヤバいです。



「プジョーは猫足」

俺は特徴が無いので周囲に溶け込んでしまって
家族ですら見つけられなくなるという話を
以前このコーナーで書いたのですが、さらに状況が
悪化していることがわかりました。

午後一で打ち合わせがあったので
先方の近くのマクドでお昼を食べることにしました。

「この番号札を持ってお席でお待ちください。」と言われ
店のほぼ真ん中に座って、店員さんがトレーを持って
出てくるであろう方向に22番の番号札を向けて座ってました。

何人か過ぎて、たぶんあれは俺のだなというトレーを
持った店員さんが出てきました。
セットのポテトをチキンナゲットに変更してたので
おそらくあれが俺のです。

しかしなかなか運ばれてきません。
なぜかその店員さんは俺の番号札を見つけることが出来ないのです。
店内をひと回りし、店の中心部にいる俺の真横に立って
店内をぐるりと見渡しています。

さすがに「22番ですか?」と声をかけましたが、
俺そのものだけでなく、俺の持っている番号札まで
周囲に溶け込んで見えなくなるようです。怖いですね。
この能力を使って、スパイか探偵になった方がいいんじゃないかと
思ってます。

さて今月の作品は「プジョーは猫足」。
先日の個展「猫展」に出展したもの。
昔から「プジョーは猫足」と言われているので、そのまま
つくってみました。
フランス車のしなやかで強靭な足回りをそう表現するようです。

個展の中でも他の作品にまぎれて見えなくなっていたのか
特になんの反応もありませんでした。



「アメリカナイズされた招き猫」

新年明けましておめでとうございます。昨年は東京五輪に対抗して京都五輪を
開催、猫ブームに便乗して「猫展」を行うなど、コロナ禍の下でしたが作品発表を
行うことができました。
勝手に対抗、便乗、と動機が不純なのは毎度のことです。
今年はいよいよ活動30周年の年。何かやりそうな雰囲気は醸し出そうと
しているのですが、実は20周年、25周年の時のようにガッチリ予定が
入っている訳でもなく、年相応にぼちぼち何か出来たらなあ、と思っている
次第です。これやって欲しい!とかのリクエストがあれば是非是非。

20周年の時などは複数のイベントを進めたのですが、最近では作品を複数同時に
作るのも億劫になって半分作りかけて放置することも増えてきました。
昨年の「猫展」の時などは振動モーターが必要になりほぼ同じものを複数発注したり、
人感センサーを使いたいな、と思い購入するもどう接続して良いかわからず諦めたり。
これはもう無駄遣いする老人ですな。という訳で今年の目標は「無駄遣いをしない」
です。小学生かよ!

そんな今年初の駄美術「アメリカナイズされた招き猫」。「おいで、おいで」でなく
「来いよっ!」と招くフランクな招き猫。この招き猫のように今年は気さくに、
大雑把に行こうと思います。
本年もどうぞ宜しくお願いします。